2024-11-14
株式会社ナウキャスト(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:辻中 仁士、以下「ナウキャスト」)は、中小企業庁が実施した「令和5年度 中小企業の売上動向把握の精度向上のための調査・分析」において、株式会社ジェーシービー(本社:東京都港区、代表取締役兼執行役員社長:二重 孝好、以下「JCB」)のクレジットカード決済データを基にした国内消費指数「JCB消費NOW」(※)を活用した「中小企業指数」を試作、中小企業の売上動向等の把握を行い、事業の内容を「中小企業白書」「小規模企業白書」にてご活用いただきました。
新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の影響が収束しつつある中においても、原油・原材料価格の高騰など、中小企業を取り巻く外部環境は激しく変化しており、厳しい状況にある中小企業に対して、実態を踏まえた適切かつ迅速な政策的支援が求められています。このため、売上げ、生産等の経済活動の状況など、中小企業を取り巻く経済環境を理解することの重要性が高まっています。我が国では経済活動の実態や外部環境の変化を把握するに当たって、政府統計が伝統的に利用される傾向にあり、当該統計は調査対象となっている事業者の趨勢を正確に把握できる等の性質を有するものの、より細かい属性の動向の把握や、速報性の高い把握に必ずしも向いておりません。特に、中小企業に限定して動向を把握することが可能な経済指標は限られており、こうした指標も詳細性や速報性に関する課題に直面しております。これに対して、クレジットカード決済データ等のオルタナティブデータは、特に感染症の感染拡大後に注目度が高まっており、その活用実態や個々のデータに関する特性(精度、偏り等)、有効性等の検証は途上にあるものの、詳細性や速報性に優れる点から公的統計を補完する役割が期待されております。
上記を踏まえ、本事業では、「中小企業の売上動向把握の精度向上のための調査・分析」を通じて、中小企業の売上動向を地域別、業種別に詳細に把握し、捕捉の精度の向上を図ることにより、中小企業の経済活動の変化を詳細に把握・分析することを目的としております。
本事業では、日本標準産業分類に準拠する業種区分にて中小企業の売上動向を代替的に捕捉可能なデータとして、「JCB 消費 NOW(株式会社ナウキャスト/株式会社ジェーシービー)」を活用し、中小企業の売上動向を把握するための新たな指標を作成しました。クレジットカードを使った売上動向把握のための指標作成においては、複数のデータの集計方法が考えられます。「JCB消費 NOW」では、財・サービスを需要する消費者の属性情報を用いて集計された、いわゆる「需要側指数」が提供されております。一方で、ある財・サービスを供給する店舗・企業の所在地といった店舗側の属性情報を用いて集計された、いわゆる「供給側指数」はこれまで作成されておりません。このため、本事業では企業規模別の供給側指数を作成しました。作成した供給側指数を用いることで、集計段階の特性上ある消費地における決済金額の推移をより鮮明に見ることが可能となります。上記を踏まえ本事業では業種別、企業規模別、地域別の状態が把握できるよう、指数作成を行い、作成した指数を利用した分析のユースケースの探索・検討も行いました。